六月を取り逃がした男

謝罪、誕生日、妻の誕生日、結婚記念日 新しいお仕事 これからのお仕事
爪 切男 2026.07.05
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六月を取り逃がした。それはもう、見事に取り逃がした。

六月は週一ぐらいの頻度でニュースレターを書くつもりでいた。つもりでいた、などという言い方からして、すでにだらしがないし、妙に偉そうでもある。出すと決めたのなら、黙って出せばいい。私がいくら出しても怒られないのは、原稿ぐらいのものなのだから。

無論、書くことがなかったわけではない。むしろ、ありすぎた。家のこと、仕事のこと、体調のこと。どれを書いても、それなりの文量にはなったはずである。にもかかわらず、あれも書こう、これも書こうと考えているうちに、何ひとつ形にしないまま六月が終わってしまった。

というわけで、六月はニュースレターを一通も送れませんでした。心よりお詫びいたします。まことに申し訳ありませんでした。

さて、六月は、世間では祝日がない月として知られている。祝日はないのに、梅雨はある。湿気もある。気圧の変化で体が重い。ずいぶん人に優しくない月である。

しかし、我が家の六月は妙に賑やかなんである。私の誕生日があり、妻の誕生日があり、結婚記念日もある。六月生まれ同士だし、どうせなら結婚も六月にしよっかというノリでそうなった。「そういえば、あなた六月の花嫁ですね」と、籍を入れた後で気付いたぐらいのもんである。

そんなこんなで六月はめでたい。大いにめでたい。ただ、めでたいことにも体力はいる。祝うことも、祝われることも、簡単なものではない。誰かに祝ってもらえるのは、若い頃より嬉しいはずなのに、ありがたいのに、少し疲れる。

悲しいことだけでなく、嬉しいことでも疲れるようになる。
それが、老いを感じる瞬間である。

老いた、疲れたと言いながらパスタは必ず大盛りを頼む。料理が来たら一度自慢する。

老いた、疲れたと言いながらパスタは必ず大盛りを頼む。料理が来たら一度自慢する。

てなわけで、四十七歳になった。

数字に見合うほど立派な人間になっているかというと、はなはだ怪しい。ただ、歳を取るにつれて頑固になるという典型的な老い方はせず、逆にどんどん素直になっている気がする。これからは潔い男でありたい。

悪いことをしたら、ごめんなさいと言う。
楽しいときは、楽しいですと言う。
誰かに助けてもらったときは、ありがとうと言う。
自分じゃわからないことは、教えてくださいと言う。
早めに帰りたいときは、帰りますと言う。

どれも簡単な言葉なのに、簡単なまま口から出せるようになるまで、ずいぶん時間がかかった。

今日も締切に追われる。
明日も予定に追われる。
明後日は歯医者が私を待っている。
体調と才能が、ここから急に良くなるとも思えないけれど、なんとか毎日やっていく。

四十七歳になっても、日々は思っていたより忙しい。枯れる暇もなく、悟る余裕もなく、身体の機嫌と妻の機嫌をうかがいながら、それでも割と楽しくやっている。

山のような雄大な男になりたい。だから「山」という駅弁を食べる。

山のような雄大な男になりたい。だから「山」という駅弁を食べる。

では、何個かご報告を。

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